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◆ 前書き
 日本製ロールプレイングゲーム(以下RPG)の双璧の一つに数えられるファイナルファンタジー(以下FF)シリーズにおいて、システム面でとりわけ異彩を放つ二つの作品がある。それがFFⅡとFFⅧである。
 後にFFⅡのシステムは「サガ」シリーズへと引き継がれるが、FFⅧのシステムを踏襲した作品は未だ登場していない。
 しかし、FFⅧもⅡのように、他シリーズとして確立するほどの可能性を秘めているのでは、という疑念が、FFⅧの特色を分析しようと思わせる契機となった。

◆ ⅡとⅧの特異性
 FFⅡ、Ⅷが他のFFシリーズと異なる共通点として「レベル制」を廃止した事が挙げられる。しかし、正確にはⅧにはレベルアップの概念自体は存在する。Ⅷはキャラクターのレベルに応じて、敵の強さが変動する「レベル連動制」を採用しており、単純にキャラクターがレベルアップした事が、戦闘を優位にする要因とならないため、事実上「経験値レベルアップ制」が廃止されたと捉える。

◆ 一般的なRPGの特色
 ドラゴンクエスト(以下DQ)シリーズを初めとした、一般的なRPGの諸要素を図解すると、図1のように表記することができる。
01.jpg
戦闘という要素に端を発し、能力値の上昇や魔法等の習得といったキャタクターの成長へと至る。成長したキャラクターは以前よりも強い敵と戦い、アイテムや装備品もより強力なものへと変化していく。こうした戦闘と成長のステップアップはストーリーと連動し、プレイヤーはゲームに熱中していく。
 この過程は、スポーツに似た構造を持っていると解釈できる。練習を繰り返し、成長を遂げる選手が、試合に勝ち抜いていき、優勝を目指すように、DQなど多くのRPGでは、戦闘を繰り返し、成長を遂げるプレイヤーは、数々のボスを打ち倒しながら、エンディングを目指している。

◆ FFⅧの特色
 では、FFⅧの諸要素はどのような図式になるのか、それを表したのが図2となる。
02.jpg
FFⅧでは、他の作品、シリーズと異なる点が多々あり、主立つものは以下の通りである。
・主人公達のレベルに応じ、同じ敵でも強さが変化する。
・魔法は習得するのではなく、入手、所持、消費、装備するものである。
・戦闘によりお金を入手する事はできず、主人公の傭兵としてのランクに応じ、定期的に給付される。
・装備品は武器1項目のみであり、着脱はできず、「改造」によって性能を増していく。

 以上の項目と図2から導かれる結論は、FFⅧは戦闘による成長要素でプレイヤーを惹きつける造りとなっていないという事である。FFⅧにおける戦闘は、一般的なRPGのような必須要素ではなく、任意要素として位置づけられている。一般的なRPGは、戦闘による一種の緊張感、ストレスとそれらからの解放によるテンポで面白さを演出するが、FFⅧの意図はそれとは異なる。FFⅧでは、多くの他要素と絡め、戦略的に戦闘と向き合う事を狙いとしているようである。
FFⅧでは、戦闘によるレベルアップより、魔法を装備する方が上昇する能力幅が大きく、尚且つ、戦闘を介さず、給付されたお金を元手に能力値を上げる事が可能である。また、魔法の入手に際しても、戦闘中に「ドロー(敵より魔法を盗む行為)」するより、アイテムから「精製」する方が、より多くの、また強力な魔法を入手する事ができる。
では、FFⅧは何を意図してこのような特色を持たせたのだろうか。一つには、プレイヤーが能動的に多種多様な戦闘を行ってほしいと願ったためと思われる。DQでは、効率的なレベルアップのために多くの経験値を持つ「メタルスライム」や「はぐれメタル」といった特定のモンスターと集中的に戦闘するといった現象がよく見られる。これは効率的な反面、単調作業の繰り返しに陥りやすい。FFⅧでは、経験値より、アイテムや魔法の重要度が高い。入手できるアイテム、魔法は敵キャラクターによって異なるため、プレイヤーは欲するアイテム、魔法を所持する敵を探す必要が出てくる。その結果、多種多様な敵と戦う事となる。これは一種の「狩り」のような要素を含むといえるであろう。

◆ FFシリーズにおける戦闘
 FFⅧの特色を論じてきたが、シリーズにおいてⅧだけが特殊なのかと問われるとそうではない。先に「戦闘が任意要素となった」と述べたが、この傾向はFFⅣから現れたものである。FFⅢまではDQシリーズと同様、戦闘から逃走する際、失敗や敵から攻撃を受けるといったリスクがあった。しかし、Ⅳ以降、「テレポ」や「とんずら」といった魔法、アビリティによって逃走が必ず成功する処置がなされた。
 戦闘を任意要素化した要因は他にもある。Ⅴでは、戦局を戦闘開始状態にまで戻す魔法「リターン」が設定され、一度戦闘を行い、敵の特徴を知った上で再戦する事が可能である。
 またⅥではゲームオーバーの概念自体が他作品と異なる。Ⅵでは、戦闘中キャラクターが全滅すると直前にセーブした地点に引き戻されるが、直前にセーブした段階から全滅するに至るまでに得た経験値は引き継がれ、使用したアイテムなどの消耗品はリセットさせる。つまり、強敵に遭遇し全滅しても、前回よりパワーアップした状態で再戦できるように取り計られているのである。加えて、戦闘不能状態を一度だけ予防する魔法「リレイズ」が登場したのも、Ⅵからである。
 引き続くⅦでも、この傾向は継承されている。アビリティの組み合わせによって、死亡時に自動的に戦闘不能より復帰することが可能となっている。Ⅷ、Ⅸにおいては、アビリティの組み合わせでなく、同様の効果が「召喚獣」一つに集約されている。

◆ 結論
 以上に述べた事を踏まえると、FFシリーズは、良くも悪くも他のRPGとは異なった趣きで面白さを追求しているようである。「映画のようなゲームを作りたい」という開発スタッフの言葉は、Ⅳ以降の戦闘に対するスタンスに符合しているように思う。彼らは戦闘をゲームのリズム、テンポを作る要素として捉える一方で、それを不可避とするのではなく、伸るか反るかをプレイヤーに委ねる形としている。
 勿論、今まで述べてきた特色はあくまで一長一短を持つものであり、FFが他作品より優れる事を証左する事ばかりを意図するものではない。FFⅧを例にしても、前作Ⅶなどに比べて、世間一般のⅧに対する評価は低い。Ⅷにおける「精製」の重要さに関しては先述した通りだが、この事をプレイヤーに気付かせる配慮が非常に少ない事がⅧの酷評に大いに関わっている。精製の重要性をプレイヤーが自発的に気付いてほしいといった製作者側が意図したデザインとも考えられるが、多くのユーザー層の支持を受けるFFシリーズに名を連ねるには、マニアック過ぎるシステムだといえる。
 ともあれ、FFⅧのシステムは他に類を見ない特色を多く持つ。そのため、その本質が日の目を見ない事は口惜しく、特定のユーザー層に向けた別のタイトルとしてデザインされ得る可能性をFFⅧは秘めているのではないだろうか。

執筆:副代表フィジー

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