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無理をしない、自重もしない
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最近自分がプレイしたゲームにDS専用ソフト「シグマハーモ二クス」(以下SH)というのがある。浜渦正志という個人的に昔から好きな作曲の方が参加しておられたので興味を持っていた。ただこのゲームは完全にクリアしたもののいまいち自分の感性には合わなかった。

それはさておいて、これも含めたゲーム音楽について話していこうと思う。

このゲーム、一つの売りとして音楽を前面に出していたのだが実際のプレイ中には音楽はそれほど記憶に残らなかった。少なくとも過去に氏が作曲を手掛けた作品ではこうはならなかった。

しかし、一度このゲームのCD音源を聞いてみると自分の中の評価は一変した。同じ音楽の筈なのに氏のいつもの作品の様に強く印象に残ったのだ。その要因として音質があるように思った。だがそれに対する反論がある。これはインタビューで氏が仰っていたことなのだがこの作品ではストリーミング再生、つまり内臓音源を使わないものになっていて音質はDSにしては良いものなのだそうだ。

確かに、プレイを一旦止めて音楽に集中するとCDと比べれば音質は下だが言っていることはなんとなくであるもののわかる。と、なればそれ以外の要因が考えられる。

 

 

その一つにゲームの媒体としての問題があろう。これは携帯ゲーム機以外もひっくるめて話すとまず、コンシューマ機、これには基本的に音のうるささについてあまり気にする必要がない環境において使う場合が多く、よってあらゆる形態のゲームでもっとも音楽の比重が高い、といえる。実際氏の作品もこれまではコンシューマ機でそれが印象に残っていた。

一方その対極、つまり最も音楽の比重が低い形態は恐らく携帯電話のアプリと思う。その証拠といってはなんだが携帯のアプリの音を出しながらプレイする人を自分は見たことがない。またこのゲームの形態は基本的にいわゆる「暇つぶし」を想定し比較的静かな場所でプレイし長時間集中させることをあまり想定していない筈だ。大体の場合周りがうるさかったり、逆にうるさくすることに気を使う場所であることがほとんどであると思う。その他アプリの音は貧弱で何度も聞く程の価値はないという先入観のためかイヤホンをつけながらのプレイもほとんど見たことがない。

で、その間にくるのは携帯ゲーム機だ。といってもイヤホンをつけながら、というのと付けずにプレイではかなり意味合いが変わるのでここは分けておこう。

前者では携帯のアプリとは違いあらゆる局面で音楽を聴くことが可能である。そのためかなりコンシューマに近いレベルで音楽の比率が高いと考えられる。ただ若干音質の問題とあらゆる環境で音楽を聞けるとはいえ移動中など場合によっては他の事に気を使わなければならない場合が多く、それらの要因のせいでコンシューマ機より低い、と思われる。

逆にイヤホン等をつけない場合。音楽を聴くにはコンシューマ機と同じ位の環境が必要になってくる。しかし昔ほどではないものの音を出すと問題になってくるのは電源の問題だ。そのためか家であろうが携帯ゲーム機で大きな音を出す人はほとんどいない。よってこの場合は携帯アプリより若干音楽の比率が高いものの前者と比べると大きく劣ると思われる。

最後にアーケードゲームだが、これは周りの環境のうるささ、といものが大きく、またゲーム自体がゆっくりさせて聞かせよう、というコンセプト自体が存在しない(選択画面中での制限時間など)ため音楽の比率としては高くないように思う。余談になるがかのメガドライブの名作「OUT RUN」の有名な「Magical Sound Shower」という曲、小さい頃の記憶に残っていたのだがいざこの年になってアーケード版の2SPでプレイしてみると周りのうるささなのか、ゲームに集中しているのか急かされているのか思ったより音楽が耳に入ってこなかった。

これらを踏まえると形態によるゲーム中の比重は

コンシューマ>>携帯ゲーム機(イヤホン有)>>>>>>アーケード>携帯ゲーム機(イヤホン無)>>>>携帯電話のアプリ 、人によっては若干違いがあるだろうがこんなところだろう。ちなみに自分はSHをイヤホンなしでプレイしていたため印象があまりなかったと考えられる。

 

音楽に集中できないもう一つの要因は媒体やその他外的要因ではなく先ほども挙げたゲーム自体の内容だといえそうだ。

このゲームは基本的にRPGなのであるが個人的にテンポは良いとは言えない。進めても普通のRPGとは違い行動範囲がほとんど、いや全くといっていいほど広がらないというのもある。そのため進めるのに若干のいらつきがある。また戦闘部分でもリアルタイムに進むため余りゆっくりしていられない。これらの要因からプレイヤーを急かし音楽をしっかり聞かせられないように思う。

ここで一つの比較対象として「ソニックラッシュ」(DS)(以下SR)を挙げてみたいと思う。このゲーム、アクションであり、やりこむ段階ならばレースーゲームに近くSHとは対照的で実にテンポが良い。ただゲームの性質上同じく急かされているにも関わらずこちらは耳に残りCD音源とあまり印象は変わらなかった。ストリーミング再生でもなく、DSの内臓音源を使っているものなのに。その違いは、となると。

サウンドテストの存在、SHにはなくSRにはあったものだ。断定は良くないが普通これがゲームに搭載されているならば殆どの人は少なくとも一度は使うであろうと思う機能だ。

これで聞くゲーム中の音楽に効果音を排除できるのはもちろん、ゲーム中では聞けない曲の終盤が聞けたり、曲のアレンジがある場合その比較が出来る。この3つ、音楽を印象付けるという意味ではプレイヤーに対してかなり大きな意味を持つものと考えられる。個人的には3つ目が特に大きい。

もともと自分が氏の作品を好きになったきっかけが「SaGa Frontier2」におけるアレンジの多様さだったのでそれがより拍車をかけた、というのが少なからずあるのだが。

 

最後にはやはり曲自体の問題になろう。SRの音楽は長沼秀樹という「Jet Set Radio」シリーズなどを担当しているテクノに定評がある作曲家が担当している。

テクノというジャンルがゲーム自体のテンポと親和していた、というのも大きいがやはり携帯機で聞きやすい軽くてノリのいい、そしてキャッチーな曲というのがあるだろう。

対してSHでは少々重い感じの曲調が多く、また携帯機ではきれいな音を出すのが難しい、

(特に重低音)にも関わらずピアノその他高い音質を要求する(と思われる)音源を使っていたのが多かった、というのも大きいのだろう。

 

これらのことからSHが売りにしていたはずの音楽はシステム面、媒体選択など、あらゆる要素との不和を引き起こしていたと考えられる。

CDから聞いた曲自体は氏の作品らしさを感じ自分も満足したのだが…

その他の要素のせいで音楽も評価されないというのは非常に残念な話である。

 

まあ、かといって大抵の場合音楽はゲームに対して親和「させる」方であって

音楽中心になりすぎるのもまた問題なのだろう。

音楽って基本客観的な見方がしにくいからこういうのを書くのが難しい…

文責:ジャーキー

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